No.170 [煙草の煙……]
2011年10月号



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 【ひねくれコラム】NO・170
            〔煙草の煙……〕
▼私は煙草を嗜むー。それがどげんした?政府(行政)か
らどうのこうのと言われる筋合いはない。この世には嫌煙
家もいれば、愛煙家もいる。居丈高に、上から目線で公人
の考えを押しつけるものではない。
▼相変わらず突然に、アドバルーンを上げ、世情(世間)
の反応を探る、見え透いた姑息な手法には辟易(へきえき)
する。そしてお決まりの主張のトーンダウン。言った以上、
言い訳せずに主義を貫くことだ。然(さ)もなくば、熟慮
してから発言することだ。
▼震災復興のために、煙草税が必要だと素直に述べれば
「そうか。そりゃ仕方ないな」と思うのが日本国民だ。そ
れを個人の健康のためだとか屁理屈こねて、みっともねえ。
▼とにかく閣僚が事前調整もせずに、権力を誇示するのは
やめろ。危なっかしくて見ておれぬ。閣僚といえば、国家
の方針を指し示し、遂行する高貴な立場だ。国家・国民の
「生命と財産を預かる」役職のはず。
▼未成年者が煙草を吸うのは法で禁じられている。これか
らの日本国を背負う大事な身体だ。しかし現在の喫煙者は
大人。喫煙するか否かは、その大人が決めるものだ。口を
はさむんじゃない。余計なお世話だ。
▼いわんや喫煙が法で禁止されているのであれば非合法だ。
その場合、両の手に冷たい手錠が掛かる。法に抵触しない
限り、吸う自由と吸わない自由がある。これも屁理屈か。

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▼あるサラリーマンの家庭で、ご主人が煙草を吸うとしよ
う。そのご主人の雀の涙の小遣いは毎月、奥さんからいた
だく。煙草の価格が上がると誰が困る?ご主人はむろん、
家計簿つけて、やり繰りする奥さんに負担がかかる。ひい
ては可愛い子供の小遣いも減る。では止めればいいじゃな
いか、と言うだろう。止める気がないから、吸っているん
だい。止められるものなら、疾(と)うの昔に止めとるば
い。
▼じゃあ、タバコ屋のおばあさんはどうすればいい?戦争
未亡人の救済を目的に免許交付したのが「タバコ屋のおば
あさん」。そういえば小さな頃、よく親父に煙草を買いに
行かされた。坂道を下ればタバコ屋があった。小さな窓を
トントンと叩くと、奥から腰の曲がったおばあさんが出て
きて「いつもお利口だね」と言って飴玉をもらった記憶が
ある。ずいぶん昔のことだ…。
▼もう一度言ふ。偏狭な正義を振りかざさず、健康のため
には、「煙草禁止法」を施行するって言えばいい。そうす
りゃ法治国家である以上、国民も納得せざるを得ない。と
同時にまず、行うことは喫煙者のマナーの徹底的な取り締
まり。くわえ煙草は50年、ポイ捨ては100年のボラン
ティアの刑。衣食住、煙草・赤ワイン付きー?
▼ばってん、来年十月より一本二円、値上げとか。議員定
数二割削減、公務員給料二割削減、予算の組換えで十五兆
円は捻出できると大見得を切ったのはどこの誰だい。
よもや忘れたとは言わさねえぞ。この桜吹雪はお見通しだ
い!鳩君よ。                ―夢追人―

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           ―編集後記―
*『酒』『煙草』『珈琲』&『○○』。「この中で一つだ
け許してあげよう。日頃の精進に免じて」―と、天空の神
より言われた場合、諸君は何を選ぶ?私にとっては究極の
選択になる。消去法で考えたとき、まず今では○○は霧の
彼方へと飛んで行く。残り三つは嗜好品の最たるもの。
*これは決めかねる。「アルコール」「ニコチン」「カフ
ェイン」と、身体にとっては最上の良薬。さりとて、天空
の神には抗(あらが)いきれぬ。決めなければならない。
三日三晩、心に葛藤が渦巻いた。
*そして、悪魔〔satan〕と天使〔angel〕が天
空で雌雄(しゆう)を賭して、果しなき闘いが始まった。
「悪」と「善」においては、弱き人間社会では悪の魅力が
善を凌駕(りょうが)する。善は悪になり切れない。しか
し、悪は善になれる。『偽(いつわ)り』という仮面をか
ぶってー。
*老人はこう言った。「お前はなぜ、そんなに酒を飲むん
だ」。男はこう言った。
「忘れるためさ」。老人は言った。「何を忘れたいのだ?」。
男は「忘れたよ。そんなこと」。
*バーナード・ショウ〔アイルランド〕はこう言った。
「禁酒、禁煙なんて簡単だ。私は百回はやった」。ギリシ
ャの哲学者は言った。「酒と煙草と珈琲、女をやめて百ま
で生きた馬鹿がいる」。旨いパスタとワインを嗜み、その
後、左手に珈琲カップ、右手に煙草が添えられているとき
が至福の極み。ニーチェ(独)はこう言った。『人生を危
険にさらせ!』                T・K

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